東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役社長:吉村洋)を無限責任組合員とするTHVP-1号投資事業有限責任組合は、2019年3月25日に株式会社スーパーナノデザイン(本社:宮城県仙台市、代表取締役社長:中田 成。以下、同社。)へ180百万円の投資を実行いたしました。
同社は、東北大学材料科学高等研究所・多元物質科学研究所・未来科学技術共同研究センターの阿尻教授の研究成果である「超臨界水反応による無機材料の有機修飾及び有機修飾無機ナノ粒子合成」の事業展開を行う会社です。研究開発コンソーシアム、東北大学ビジネスインキュベーションプログラム重点タイプ等によるインキュベーションを経て、産業界のニ-ズを受けて同社が設立されました。
金属やセラミックスなどの無機材料は、様々な機能を持っていますが、プラスチックと比較すると、成型加工性や密着性、弾力性には難がありました。これまで、微粒子化して樹脂と混練りし、コンポジット化する方法が試みられてきましたが、親和性が低く高濃度で混ぜることができませんでした。
それに対し、超臨界水(高温・高圧の水で無機材料も有機材料も均一に混同できます。)中での反応を利用することで、無機材料表面に有機分子を結合させることができるようになり、機能性無機材料の微粒子を高濃度で樹脂に分散させることができるようになりました。これにより、無機材料の高い機能を保持しつつ、プラスチックスのような成型加工性、そしてクッション性や密着性の高いハイブリッド樹脂を創成することが可能となります。
この技術の応用範囲は幅広く、通信基地局・電気自動車等のICやパワー半導体、電池等の熱を効率的に逃がす材料として大きな需要が見込まれる熱伝導材の開発・製造を当面の事業計画に据えています。また、長期的には、水素を低温で安価に製造するための触媒への展開も目指しています。