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株式会社Epigeneronへの投資実行について

東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役社長:吉村 洋)を無限責任組合員とするTHVP-2号投資事業有限責任組合は、2021年3月9日に株式会社Epigeneron(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藤井 穂高)へ48百万円の投資を実行いたしました。

同社は、弘前大学大学院 医学研究科の藤井 穂高教授らの研究成果を活用したバイオ系ベンチャー企業であり、新しい創薬支援技術を製薬企業へ提供する「ゲノム機能調節薬事業(創薬関連事業)」と、ゲノム配列分析による試薬の設計・販売において、画期的なコスト競争力を有する「ゲノム解析事業(分析関連事業)」の2つの事業を展開しております。

ゲノム分析の世界において、以前は病因遺伝子特異的な発現制御因子を同定する方法がありませんでしたが、近年、ゲノム機能における遺伝子発現調節機構の異常が、難治疾患の病態発現に関与していることが明らかとなってきました。弘前大学・藤井教授らは「遺伝子座特異的クロマチン免疫沈降法(遺伝子座特異的ChIP法)」を独自に開発し、病因遺伝子特異的な発現制御因子を同定する事に成功。新たな創薬ターゲットとして製薬企業へ提供する道を切り拓きました。

同社は「遺伝子座特異的ChIP法」に加え、ゲノム配列分析のコストを大幅に抑え、且つ検出感度の高度化を実現する手法である「ORNi-PCR法」を開発しました。ORNi-PCR法は、20塩基程度の短いRNAを利用して、PCR(*注)反応等において標的とするDNA配列の増幅を阻害することにより、変異遺伝子の存在を高感度に検出できる技術です。当技術により、PCR検査におけるゲノム分析において、大幅なコスト削減や高感度検出が可能となりました。現在、新型コロナウイルス感染症変異株検出のための試薬としても販売されています。

THVP-2号ファンドは、当社の事業を加速させ将来的な医療への貢献をはかるべく、事業開発支援を行ってまいります。

(*注)
DNA配列上の目的の領域を、ポリメラーゼ(DNAの塩基をつなぎ合わせて長い塩基の鎖を作る酵素)を用いて増幅させる方法。目的のDNA領域のコピーを大量に作ることができる。