東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社（本社：宮城県仙台市、代表取締役社長：樋口 哲郎、以下「THVP」）を無限責任組合員とするTHVP-2号投資事業有限責任組合は、株式会社グリーンケミカル（本社：神奈川県横浜市、代表取締役：岩越 万里、以下「グリーンケミカル」）に対して投資を実行いたしました。なお本件は、株式会社みらい創造機構との協調出資となります。
グリーンケミカルは非可食バイオマス由来の糖原料から芳香族※1系バイオプラスチック原料を製造する触媒技術を有するスタートアップです。プラスチックは、その機能性により多大な利便性をもたらしている一方で、資源・廃棄物制約や海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題などとの関連も指摘されております。その課題の低減に必要な施策のひとつとして、植物などの再生可能な有機資源を原料としてつくられたバイオマスプラスチックの利用が注目されております。日本においてもプラスチック資源循環戦略※2が策定され、2030年までに200万トンのバイオマスプラスチックの導入が目指されております。
グリーンケミカルは、東京工業大学物質理工学院 原研究室と東北大学大学院薬学研究科 岩渕研究室との共同研究を通じて、バイオマス資源である糖から有用な芳香族系化合物であるHMF（5-ヒドロキシメチルフルフラール）を高純度で製造する技術開発に取り組んでいます。HMFは多様なカーボンニュートラル化成品のビルディングブロックとなり、食品添加物としての利用のみならず、芳香族系バイオプラスチックの基本原料にもなります。特に、PET(ポリエチレンテレフタレート)のバイオマス代替品として知られるPEF（ポリエチレンフラノエート）の中間体FDCA（フランジカルボン酸）の原料として大きな注目が集まっております。
今般THVPは、グリーンケミカルの触媒技術の改良とパートナー企業との連携によるスケールアップ実証、および体制拡充による開発の加速を目的とした本資金調達に参画いたしました。
THVPは、今後も国立大学発の革新的技術の社会実装に向けて、大学発スタートアップに対する積極的な支援を進めてまいります。
※1：ベンゼン（C6H6）などの環状構造を持つ分子。香りを持つ分子が多いことから芳香族と呼ばれるが、必ずしも香りをもつわけではない。原油から精製される石油化学基礎製品のうち、4割程度を占める重要な原料。
※2：プラスチック資源循環戦略
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